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Staff report15/02/2019


【番外編】海外視察 ニューヨーク/暮らしと文化

前回に引き続き、スタッフの全がレポートします。今回はホテル視察の傍らニューヨークの暮らしや文化を体験したエピソードを番外編としてお送りします。

《ミュージックシーン》
ニューヨークはジャズやブルース、ポップスなど様々な音楽シーンで有名ですが、この街はクラシック音楽愛好家にとっても、非常に魅力的な街です。世界屈指の名門オーケストラであるニューヨークフィルハーモニック、そのニューヨークフィルの本拠地であるホールが位置するリンカーンセンター、一流アーティストのリサイタルが行われることで有名なカーネギーホール、そして音楽の神童のみが入学が許されるというジュリアード音楽院など、クラシック音楽のエッセンスがこの街にはちりばめられています。

リンカーン・センター

クラシック音楽が趣味である私は今回の視察中にどこかで生演奏を聴きたいと思っておりましたが、幸運にも滞在中ニューヨークフィルの定期演奏会の公開リハーサルを聞きに行くことが出来ました。(この前日にカーネギーホールで開催されるヴァイオリンリサイタルにも赴きましたが、開演1時間前に行ったにもかかわらずチケット売切れという悲しい結果に。)
通常の演奏会ですと価格もそれなりで敷居も高めですが、公開リハーサルならチケットは通常価格の数分の一程度で購入できます。それにリハーサルとはいえ演奏会前の最終通し稽古なので、演奏のクオリティは通常の演奏会と変わらないですし、指揮者の普段の姿も垣間見ることができます。座席も自由席なので、自分が聞きたい場所に座ることが出来るとてもお得な演奏会でした。私が訪れたときは平日の朝10時前からのリハーサルでしたが観客席は半分以上も埋まっていて、ニューヨークフィルの人気を実感しました。
正規の演奏会以外にも上記のような公開リハーサルや、ジュリアード音楽院の学生たちによるスタジオコンサートなど、気張らずフランクにクオリティの高いクラシック音楽に触れることが出来るこの街の環境がとても羨ましく思えました。

ニューヨークフィルの本拠地ホールであるディヴィッド・ゲフィン・ホール

《アートシーン》
ニューヨークには規模の大きい美術館やプライベートなギャラリーまで様々なアートシーンが勢ぞろいしていますが、中でも今回訪れたかったギャラリーがありました。画家で彫刻家であったDonald Judd (June 3, 1928 – February 12, 1994)の初期のアトリエ兼住居がそれです。JUDD亡き後現在はJUDD Foundationによって運営されており、通常公開はしておらずプライベートガイドという形でのみ中を見ることができるギャラリーとなっています。

JUDD Foundationが入っているビルの外観

ギャラリー内部(出典:JUDD Galleryウェブサイトhttps://juddfoundation.org/)

SOHOにあるSpring Streetの角に建つギャラリーは、周りにブランドショップや最先端のファッション店舗で囲まれていて、つい通り過ぎてしまいそうなくらい小さな5階建ての鉄骨とガラスのファサードが印象的なビルでした。ここをJuddは生前アトリエ兼住居として使用していたそうです。彼はアーティストでありながら家具のデザインも自ら手がけていて、SOHOのギャラリーには家族のために制作されたベッドやテーブル、アトリエの作業員たちのために制作されたデザインがそれぞれ異なる様々な椅子が、当時の面影を残したまま保存してあります。

当時の面影を残したままに保存されているアトリエ(出典:https://juddfoundation.org/)

また、館内にはJuddと親交のあった芸術家たちの作品も彼の作品と共に展示されていて、絵画から彫刻作品、家具にいたるまで一貫してミニマリズムを貫いたJuddの作品のバックグラウンドを堪能できるギャラリーです。ギャラリーの内部は静寂につつまれていて、とてもSOHOのショッピング街のど真ん中にいるようには感じられませんでした。

Judd夫妻の寝室。右手にはJuddの友人でアーティストのDan Flavinの蛍光灯 アートが飾られている(出典:https://juddfoundation.org/)

《Katz`s Delicatessen》
ロウアー・イースト・サイドにあるPUBLIC Hotel滞在中にホテル界隈を歩いていて、偶然入ったのがこのレストランです。外装のネオンサインがいかにも観光客のイメージする「ザ・アメリカ」な雰囲気だったことと人で溢れている店内が気になり、入ってみることにしました。

Katz Delicatessen外観(出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Katz%27s_Delicatessen)

1888年創業と書いてあるように年季の入った店内や、創業からこれまでの歴史が伺える壁一面に掛かっている写真たち、メニューオーダーの際の店員さんとの豪快で愉快なやり取りなど、その空間にいるだけでもとても楽しく、国は違いますがまるで日本の下町の食堂にいるような活気あふれる場所でした。こちらの看板メニューはパストラミ・サンドイッチで店内のほとんどのお客さんはこのサンドイッチ目的で訪れるようです。私もこちらを頼んでみましたがあまりのボリュームに一緒に訪れた現地在住の友人とシェアしましたが、それでも半分以上は食べ切れず持ち帰りました。サンドイッチは塩気があってどこか懐かしい感じのする味でした。
ところで実はこのレストラン、とても有名な映画のワンシーンで登場しているんです。かなり前の映画になりますが、アメリカの女優メグ・ライアン主演の“恋人たちの予感”という映画でメグ・ライアン扮する主人公のサリーが男性主人公と車をシェアしてシカゴからニューヨークに向かう道中でレストランに立ち寄り食事をするシーンがあります。

映画「恋人たちの予感」より食事のシーン(出典:https://stylecaster.com)

なんと彼らが立ち寄ったそのレストランがここだったのでした!
私は過去何度もこの映画を見ているほどの大ファンなので、天井から吊された「ハリーとサリーが座った席はここです↓」の看板を見つけたときはとても驚き、しばらく映画の感慨に浸っていました。今回のニューヨーク滞在は視察というミッションがあったおかげで観光がほとんど出来ておりませんでしたが、この日の出来事によって私の中の観光客心が一気に満たされたのでした。

天井から吊るされたサイン。「Where Harry met Sally…Hope you have what she had! 」 とあります

以上で視察編と番外編の2回に渡ってニューヨークのレポートをお送りしました。今回の視察で見学したホテルの数は、実際宿泊した6つのホテルの他に10以上にのぼります。どのホテルも空間デザインや家具、アートを巧みに使用することで、訪れるお客様に唯一無二の経験をしていただけるような工夫がしてありました。今回の視察で得た体験によって、私の中のデザインの引き出しが増えたことを願いながら今回のレポートを終わりたいと思います。読んでいただきありがとうございました。