Jun Mitsui & Associates Inc. Architects|Pelli Clarke Pelli Architects Japan, Inc.

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Staff report16/01/2017


海外視察 プラハ&ウィーン&ザルツブルグレポート

今回の海外視察レポートはスタッフ吉田よりお伝え致します。

沿道型商業施設、歴史的町並みと近代・現代建築の視察を行う為にチェコとオーストリアに行ってきました。

『1000年以上の歴史をもつ都市。プラハ(チェコ)』

チェコは第一次・第二次世界大戦や高度経済成長にも巻き込まれなかったことで、ロマネスク建築から近代建築まで様々な建築様式が並ぶ街並みです。『建築の博物館』とも呼ばれユネスコの世界遺産にも登録されています。

海外からの観光客も多く世界で最も美しい街の一つに数えられています。

まず、最初に向かった先はプラハのシャンゼリゼ通りともいわれるヴァーツラフ広場。全長約750m幅員60mあり、広場の周辺には古い建物を利用したホテルやレストラン、ブティックやファーストフード店もあり、若者も多く賑わいのある広場となっていました。新旧様々な建築様式が混在していましたが、高さが統一されている事で街並みの連続性を生み出し、広場を囲う背景としてまとまりを感じました。

新旧様々な建築様式が混在するヴァーツラフ広場周辺の建物

ヴァーツラフ広場から旧市街地広場へ向かう通りには、ほぼすべての建物の1階部分にカフェやレストランなど店舗用途が入っており、歩いて楽しい通りが連続しています。通りの反対側を歩いても向いの店舗の雰囲気を感じる事ができ、通りの幅員と店舗の距離感が賑わいを生み出す一つの要因ではないかと考察できました。

旧市街地広場への通り

活気にあふれる通りを抜けると旧市街地広場にたどり着きます。
旧市街地広場を囲む建物は歴史的建造物が多く、比較的新しい建物も混在していて、様々な建築様式を見る事ができます。また、広場では様々なイベントが開催されており賑わいある広場空間となっていました。

旧市街地広場

次に向かったのがヴァーツラフ広場から歩いて15分ほどのブルタバ川沿いに位置するダンシング・ハウス
(正式名称:ナショナル・ネーデルランデン・ビル)
建築家フランク・ゲーリーとヴラド・ミルニッチが設計を行ったプラハの街並でひと際目を引く存在となっています。この建物はダンスしている男性と女性を想起させる外観となっておりダンシング・ハウスの通称で一躍有名になりました。ブルタバ川沿いの通り側は隣接する建物と高さを揃えることで、統一感をつくると共に隣接する建物に対し曲線の外壁を用いる事で個性を生み出しており、象徴的な街並みの景観を生み出していました。

ダンシング・ハウス

最上階にあるカフェ

屋上にあるモニュメント

屋上からのプラハの街並み

夜になり、街には昼間とは雰囲気の異なった活気にあふれていました。
広場空間を利用した屋台が並び、広場空間で気軽に飲食できるスペースがあり、中には音楽を奏でるパフォーマーがより良い雰囲気を演出してくれます。プラハに住む人々にとって広場空間は日々の生活と非常に密接している感じを受けました。

次の視察地ウィーン(オーストリア)に向かう為、プラハ駅に来ました。プラハ駅はステーション機能の上階に駐車場があり、駐車場から駅に向かうガラス張りのコア機能が車道からの視認性を高め、プラハ駅の印象的な風景を生み出していました。

『音楽の都。ウィーン(オーストリア)』

ウィーンは都市単独で一つの連邦州であり、2014年、アメリカのシンクタンクが公表した文化・政治・ビジネス・人材などを対象とした総合的な世界都市ランキングで、世界第16位の都市と評価されました。欧州ではロンドン、パリ、ブリュッセル、マドリードに次ぐ第5位にランキングされた都市となっています。

ウィーンに向かい最初にたどり着いた建物は、ウィーン中央駅です。この駅は2015年に全面開業したばかりで、周辺には大規模再開発が計画され、住宅や学校、オフィスビルや商業施設を含む複合施設など開発が進行しています。線路上部を覆う多角の大屋根が印象的でトップライトや多角のパネルが自然光を反射させ大屋根の下でも明るい空間となっています。多角のパネルの交点部の収まりは非常に美しく細部までこだわりを感じました。

駅が出来上がるまでの過程とその関係者の写真を展示したスペース

駅外観

駅構内にはトップライトが差し込む

多角パネルの収まり

到着したウィーン中央駅から早速向かった先は、ウィーン第1地区の沿道型商業エリア。ケルントナー通り、クラーベン、コールマルクト、トゥッフラウベン地区とウィーンには沿道型の商業が多く存在します。道路幅員が広いクラーベン通りには休憩できるベンチもあり、買い物目的でない人も多く行き交う非常に賑わいのある空間となっていました。
また、新たにできた高級ブランドエリア。トゥッフラウベン地区は異なる店舗ですが店舗部分の外観の色彩や高さを統一させており、トゥッフラウベン地区の個性ある街並みを生み出していました。

クラーベン通り

トゥッフラウベン地区

商業エリアから街を歩いていると突如現れた大きい庇。遠方からでも視認できる庇はウィーン第1地区のインネレシュタットにある美術館。アルベルティーナの入口につながる庇でした。入口としての視認性、存在感があり街並みとのコントラストを生み出していました。

美術館の大きな庇

ドナウ運河岸のウィーン第2地区レオポルトシュタットに位置し、ウィーンの中心部(ドナウ運河の対岸部)からひと際目立つシンボリックなホテル。ソフィテル・ヴィエナ・シュテファンスドームはジャン・ヌーベルが建築もインテリアもトータルデザインしたホテルです。通称『ヌーベル・タワー』と呼ばれ3階まではインテリアショップやギャラリーがあり、最上階部分はレストラン&ラウンジバーとなっています。
外部からも視認できるインパクトのある中間階の吹抜け空間と、最上階の天井部分にはテント生地のようなものをキャンパスに見立てたアート天井があり、内部から見ると、どこまでが内部空間か外部空間なのか境界が分からなくなる感覚を味わう事が出来ます。内部空間から目線に近い位置で体感する空間も圧巻ですが、外部からのインパクトも群を抜いて存在感がありました。ウィーンに訪れる際には是非立ち寄ってみてください。

ソフィテル・ヴィエナ・シュテファンスドームホテルの外観

最上階はインパクトのあるレストラン&ラウンジ空間となっている

ドナウ川とUNOシティの間に位置するドナウシティは旧市街から外れたビジネス地区として大規模開発が行われモダンな市街地が発展しています。
そのドナウシティに位置し、オーストリアで最も高層(220m)なビル、DCタワー1はドミニク・ペローが設計し、2014年に完成しました。様々な現代建築が存在するドナウシティの中でも非常にシンボリックなタワーとなっています。DCタワー1内にはホテルメリア・ヴィエナがあり、内装も近未来的なデザインとなっていました。また、多角のファサード部分に面した客室はファサードと連携しており各室の面積がすべて異なっている事に驚きました。

ホテル メリア・ヴィエナの外観

ドナウシティの中でも存在感がある

エントランスロビー空間

多角のファサードにより面積の異なる客室

『文化とモーツァルトの街ザルツブルグ(オーストリア)』

オーストリアの都市ザルツブルグの名の語源は『塩の城』。ここは塩の採掘が行われていた塩によって栄えた歴史があります。また市内旧市街や歴史的建築物は、ユネスコ世界遺産に『ザルツブルク市街の歴史地区』として登録されています。

旧市街にあるゲトライデ通りは各店舗がそれぞれ作り込みをした装飾袖看板を設ける事で、通りを印象付ける記憶に残る沿道空間を作っています。

通路部分にはショーケースを設ける事で、ただ通り抜ける為の通路ではなく商品を紹介する場ともなり、明るく快適な通路空間となっていました。

通路はさらに奥へ繋がっている

今回の海外視察において、様々な建築や街並み、沿道型商業と通りの関係や広場空間で感じたことは、既存の建物や歴史的な街並みと調和を図りながらも独自の個性を生み出す事でその街を印象付ける建築物となるということでした。さらにわかったことは、施設と通りや広場などの外部空間との関係(距離感)です。今回の視察を行った街に住まう人々は外部空間の使い方がうまく、外部空間を利用する人々の活動が見える事で、賑わいある街並みが生み出されるように思いました。

今回の海外視察での経験を将来のプロジェクトに少しでも活かせるように努力したいと思います。
以上。スタッフ吉田のレポートでした。次回のスタッフレポートもお楽しみに。