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海外視察 ニューヘブン

今回の海外視察レポートは広報スタッフ加藤よりお伝えします。実は、ニューヘブンにオフィスを構えるペリ クラーク ペリ アーキテクツ(以下PCPA)の40周年及びシーザー・ペリ90歳の記念パーティーに、PCPAジャパン(以下PCPAJ)の広報として招待いただき、参加をしてきました。いつもは設計チームの皆さまに、レポートを書いていただいておりますが、今回は広報の加藤より報告させていただきます。

ニューヘブンは、名門私立大学の連盟であるアイビー・リーグに属するイェール大学のある学術都市として有名です。アメリカ大統領ゆかりの街とも言われています。前回の大統領選でも話題になったヒラリー・クリントンも、イェール・ロー・スクールの出身です。日本ではなかなか見ない形ですが、街の中にイェール大学のキャンパスが違和感なく溶け込んでいます。また緑も多く、市内にハルニレ(エルム)の木が多く立っていることから、The Elm City(エルムの街)という別名も持っています。今回は、そんな緑あふれるイェール大学のキャンパスを中心にニューヘブンの街をご紹介します。

1600年代頃、イギリスの植民地として利用されていたニューヘブンの街。第二次世界大戦後は人口が16万人を超えピークになりました。しかし、ダウンタウンが再開発や州間高速道路の建設によって取り壊され、新しく建てられる家はニューヘブン市域外ばかりで、人口流出が激しくなり、人口は減少していきました。2000年代に入り、イェール大学などの研究・教育水準の高さを活かして、若者を街に取り組むようになってきています。実際に私が訪問した日も、イェールの学生らしき人たちがたくさんいました。こう説明すると一見安全で環境に恵まれた場所と思われるかもしれませんが、全米平均で比べるとまだ決して良い方ではないらしく、キャンパス近辺から離れると人気が少ないと感じました。

  • キャンパス内は緑が多く、広々としています

  • 街の中にイェール大学のキャンパスが溶け込む 

  • PCPAの看板

  • イェール大学のキャンパス近くにあるペリ クラーク ペリ アーキテクツ本社入口。よく見ないと通り過ぎそう

キャンパス内は自由に見学が出来るので、ゆっくり散策しながらアカデミックな雰囲気を楽しめます。イェール大学キャンパスの中にはアートギャラリーがいくつかあり、今回は「イェール大学英国美術センターとイェール大学アートギャラリー」を見学してきました。ルイス・I・カーンが設計した「イェール大学英国美術センター」は入口が非常にシンプルで、ドアを開けると吹き抜けのロビーが待ち構えていました。自然光を取り入れる形で、心地よい明るさでした。館内スタッフの方も明るくフレンドリーな方たちで、気持ちのよい時間を過ごせました。「イェール大学アートギャラリー」は、外観の表側はボーダーの入ったレンガづくりでしたが、ファサードはガラス張りでシンプルなつくりになっていました。こちらの建物は内部の三角形を組み合わせた立体スラブの天井が印象的でした。スラブ内に照明が取り付けられており、展示物のレイアウトがし易いようにしているそうです。

  • 自然光と木の壁がコンクリートの冷たさを和らげるようなデザインになっている(英国美術センター)

  • 三角形のスラブが特徴的な天井があるアートギャラリー

そして、事前調査で見に行くのをとても楽しみにしていた、SOM設計の「バインネック稀覯本図書館」にも行ってきました。こちらはいくつかあるイェール大学の図書館の一つで、グーテンベルク聖書などの貴重な本が保管されています。外観は大理石を使用し、マス目状の造りになっています。内部は、薄い大理石パネルを使用しているため、晴れの日だと太陽光が透過し、非常に美しい内部空間となります。今回は残念ながら曇りだったので、その光景は見ることができませんでした・・・。また、中へ入るとそこには中心部に6階建ての書架があり、圧倒されます。機会こそあれば、晴れの日にリベンジしたいと思います!

  • 外観はマス目状で非常にシンプル(バインネック稀覯本図書館)

  • 圧巻の6階建て書架。壁は曇りで光が透けず残念

  • イェール学生のみが入れるゴシック様式のスターリング・メモリアル図書館

  • まるでヨーロッパにいるかのような内装(スターリング・メモリアル図書館)

それから、“クジラ(Yale Whale)”という別名を持つ、イェール大学のアイスホッケーリンクである「デイヴィッドS. インガルス・ホッケー・リンク」(設計:エーロ・サーリネン)にも行ってきました。実は日本ではおなじみの丹下健三が設計した国立代々木競技場は、このデザインを参考にしているそうです。別名通り、外観はクジラのようなデザインです。リンク面を地上より下げて作っているため、建設のボリュームを抑えられているそうです。中に入ってみると、外観よりも大きい印象を受けます。シーズン中なのか、イェールの学生と思しき人たちが、練習をしていました。
そして、シーザー・ペリがデザインをした「ダニエルL. マローン技術センター」も見てきました。時間の関係で内部までは見ることができませんでしたが、外観はガラスに囲まれており、自然光で十分に室内が明るくなりそうな造りでした。

  • クジラの尾びれのようなデザイン

  • 外観よりも大きい印象を受ける内部

  • ガラスで覆われている面と石灰岩の面が異なる印象を与えている

  • ガラスにも模様が刻まれており、柔らかな光が差し込みそう

たっぷりキャンパス探索をした後は、先輩スタッフの方々と共に、スペイン料理屋へ夕食を食べに行きました。金曜の夜だからということもあってか、ほぼ満席状態で、非常に賑わっていました。運ばれてくる料理はどれもビッグサイズで、食べ応えたっぷりでした。スペイン料理屋の佇まいもそうだったのですが、外は穏やかでお店に入ると満席状態で賑わっているというようなところが、個人的に東京の新宿三丁目から新宿御苑前までの雰囲気に似ている気がしました。

  • メインディッシュは全部ビッグサイズ。食べきれない…! 

  • スペインビールもいただきました。パッケージがかっこいい!

そして、ニューヘブンの朝は鳥のさえずりが聞こえてきそうなほど、静かで穏やかです。街は相変わらず静かですが、朝の9時半頃になるとイェールキャンパスの近くにあるカフェは、イェールの学生や社会人、観光客らしき人でほぼ満席状態でした。

  • 穏やかな朝。まだ人通りも少ない8時半頃

  • 朝食もボリューミー。意外と薄味で食べやすかったです

まとめ

イェール大学のキャンパスを中心にご紹介しましたが、他にもCityHallなどの見ごたえのある建築物もまだまだあります。ニューヘブンという“まち”にイェール大学のキャンパスが埋もれたり、分断されることなくうまく調和していることを体感しました。訪れる人々に、穏やかで、まるでヨーロッパの古き良き街中に居るような印象を与えるな、と滞在中に思いました。初めて訪れた場所でしたが、ニューヨークやシリコンバレーのような、時代の先端を行くような街ではなく、「自然や、古くからある良いものを大切にしていく」という発展の仕方を感じる街でした。
次回は、PCPAの40周年及びシーザー・ペリ90歳の記念パーティーについてレポートします。

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