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海外視察2010
コペンハーゲン・オスロレポート 第一回

Webサイトリニューアルにより始まりました記念すべき初回のスタッフレポートは、入所2年目の成田より、海外視察のレポートをお伝えします。

2010年の夏、街づくりの仕事に関連した視察を行うために、独りデンマーク・コペンハーゲンとノルウェー・オスロへ出掛けました。ヴァイキングが繁栄した古代史以来、両都市ともにウォーターフロントへの関心が非常に高い都市です。現在も商業、業務、公共、住宅等の各施設による、複合的な水辺の街づくりが展開されています。

視察という場を借りて「街づくり」の視点だけで街の姿を見つめてみると、街の風景は発見に満ちています。バカンスで行く旅行では、何となく見過ごしているであろう街の景色が、非常に興味深く感じられます。

それでは、1週間に渡って両都市の水辺を歩き、私なりに読み取ったことを、「街づくり」の視点で2回に分けてレポートします。

コペンハーゲン 2010. 07. 31 – 08. 03

大小400以上の島々からなり、北海道の半分ほどの面積をもつ小さな国:デンマークには、500万人の人々が住んでいます。首都は、コペンハーゲン。時には「北欧のプチ・パリ」、時には(福祉立国であるが故に)「住むには高くつくが、世界で一番暮らしやすい都市」と呼ばれる水辺の街です。

この街では、一国の首都とは思えない、まるで農村にいるかのようなスローな時の流れを感じることができます。東京ではおなじみの、地下鉄に鮨詰めにされ人混みをかき分けながら時間に追われる、スーツ姿のいわゆる「サラリーマン」を目にすることはありません。北欧各国が皆そうであるように、激しい蹴落とし合いのあるエキサイティングな競争社会とは対極な、互いに助け合いゆったりとした時間が流れる社会民主主義の形が街の生活シーンに表れています。

 

童話「人魚姫」の作者として有名なハンス・クリスチャン・アンデルセンも居を構えたというニューハウン。かつては船乗りたちの飲み屋街として栄え、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようなチャーミングな木造の街並みをもつこの地区が、現在も賑わいの中心になっています。

周囲には、現在も使われているダッチ・ルネッサンス様式の重厚な宮殿、カーテンウォールの公共施設やオフィス、緑豊かな憩いの公園があります。対岸のクリスチャンハウン地区には、静かな運河に沿って建ち並ぶ低層のアパートメント郡、文化の象徴であるオペラハウスがあります。コペンハーゲンでは、現代都市を構成する様々な主要機能が、当たり前のように水辺に沿って建ち並びます。多機能の集積は、世代や職種を越えた多様な人々を水辺に集め、交流を生み、結果として水辺と共にある活気に満ちた生活シーンをもたらしています。街の水際をぐるりと周遊できるプロムナードを歩いていると、飽きることの無い、変化の絶えない多様な景観に出会います。

街全体の水辺に面した建物の軒高は、概ね25m程度で統一されています。非常に分かりやすい手法によって、まとまりある街並みがつくられています。現代的なデザインの建物も、そんなシンプルな配慮ひとつでクラシックな街並みと調和し、互いの良さを引き立て合うことができるのです。

コペンハーゲンは、個性よりも調和を、自由よりも平等を、競争よりも協調を重んじる市民によって、独特のゆったりとした時の流れの元につくられた水辺の街です。この街は、都市のスケールで俯瞰したとき初めて、新旧の街並が水辺に沿って共鳴する(市民性に相容れないほどに)非常に強い個性を主張します。12世紀初頭、砂州につくられたほんの小さな砦でしかなかったコペンハーゲンは、今、洗練された水辺の複合都市として成熟しつつあります。

 


 

さて、カストロップ国際空港を発ち、スウェーデン第二の都市:ヨーテボリを右手にカテガット海峡を北上すること1時間、雄大なスカンジナビア山脈が遠くに聳える頃、眼下にはノルウェーの首都:オスロの街が広がります。日本人が思い浮かべるノルウェーとは、、、森の国、フィヨルドの国、ノルディックスキーの国、オーロラの国、サーミ人の国、サーモンの国、グリーグの国、ムンクが叫ぶ国、ノンカットポルノチャンネルの国!?、背の高い国民がノソノソと歩く国・・・。或はビートルズの曲や村上春樹の小説を連想してしまう人も多いはず。遠い極東の地に住む私たち日本人は、そんな「Theノルウェー」から「Theオスロ」をイメージしようとするのだけれど、今いちピンとこないかもしれません。次回は、同じく街づくりの視点から、そんなオスロの水辺を歩いて行きます。

 

Text and photo by Ai Narita

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