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海外視察2011 韓国レポート 第二回

ソウル 2011.10.04
第8回目は前回の仁川(インチョン)に続き、スタッフの鍵井より今回はソウルをレポートします。
2日目の韓国は、ソウル市内に入り海外建築家による建築作品と、自社の物件等を見てまわりました。 最初に訪れたのは、イテウォンにあるサムスン美術館「Leeum」へ。この美術館は、サムスン文化財団により運営され、2004年にオープンした美術館です。 韓国の古美術を常設展示するMUSEUM1(マリオ・ボッタ設計)と、国内と海外の現代美術を常設展示するMUSEUM2(ジャン・ヌーベル設計)、それから、次世代のための様々なプログラムを運営しているサムスン児童教育文化センター(レム・コールハース設計)の3つの建物で構成されています。

エントランスを入り古美術のMUSEUM1常設展示へ。EVで最上階まで進み、らせん状に下階へ順路を進む動線計画。照度の低い展示空間に対して、トップライトから自然光がそそぐ移動空間はとても心地よく、明暗の対比がとても面白い空間を演出していました。その後、ジャン・ヌーベルによる現代美術のMUSEUM2へ。 現代美術の先端性を表現した、錆びたステンレススチールとガラスの外装は、近くで見るとかなりインパクトを受けましたが、低く抑えられた建物ボリュームと 土地の高低差を利用した内部の構成により、古くからそこに建っていたのではというくらい、土地に根づいているような、懐かしい感じを受けました。

残念ながらコールハースが設計した児童教育文化センターは改修工事中のため内部には入れませんでしたが、それぞれの建築家が、その建物のプログラムに応じて、過去、現在、未来を表現し、それが空間と特徴的な外観に現れていたと思います。

次 は、ドミニク・ペローの設計による梨花女子大学キャンパスを訪れました。梨花女子大学は、ソウルで初めてのつくられた女子大であり、国内では難関校として有名なお嬢様学校です。キャンパスに入ってすぐに右手にトレンチが広がり、その両脇に教室、多目的ホール、カフェやショップが入る、その殆どが地下に埋まっ た建築です。クレパス部分は高いところで4層程のボリュームで構成され、想像していたスケールより大きく、かなり壮観で、久しぶりに建築が持つ迫力を感じ ました。

スロープの反対側は階段状の広場になっていて、食事をする人や、楽器を奏でる学生さんなど まさに「ザ・キャンパスライフ」みたいな光景がありましたが、気取らずに利用できるこのような 場所が建物の内部にも多く用意されており、創造や出会いの場所としてとても充実した建築でした。

最後に訪れたのが、弘代(ホンデ)です。芸術大学で有名なホンイク大学を中心に広がる繁華街には、ライブハウスやクラブ、おしゃれなカフェやレストランが立ち並び、若者の熱気が溢れる、街全体がアートな雰囲気の場所です。今回ここを訪れたのは、自社のデザインによるHongDaeプロジェクト(通称:イエローダイヤモンド)の見学が目的です。クライアントはこのプロジェクトを起爆剤として街を更に活気のある場所にしたいとのいう思いがあり、インパクトのあるデザインを求められたそうです。

外皮は、黄橙色のフリットパターンが焼き付けられたガラスをSSG工法により取り付けられたものであり、半透明の外皮にすることで、建築内部の賑わいが外へと滲み出し、ホンデの街並みの一部となっている印象を強く受けました。 また、4層のボリュームを覆う多面体のファサードが、ダイヤモンドのような特徴的なフィルムを実現すると同時に、周辺の建物のスケール感と調和しており、実際に足を運ぶことで改めて学ぶことがありました。

最後に、今回はマスタープランの視察ということで、仁川(インチョン)を中心にまわりましたが、韓国ではソウルを中心に様々な街づくりが同時に進行しています。先日も釜山(プサン)に、ジョン・ジャーディによりデザインされた、300mの超高層レジデンスタワー3本を含むプロジェクトが完成し、その隣では、ダニエル・リベスキンドが手掛ける「海雲台I park」 が進行中です。

韓国は今、世界中の優秀な建築家を集め、デザインの力によって街が生まれ変わろうと動いています。 自国の文化を大切にしつつ、海外デザイナーを受け入れ、新たな文化を本気でつくろうとしている意識の高さを感じる視察になりました。今後も韓国の動向 には注目してゆきたいと思います。

以上、スタッフの鍵井の韓国レポートは終了します。

Text and photo by Takuma Kagii

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