ヨーロッパの大都市~再開発のあり方~
現在私自身が携わっている都市開発、再開発のプロジェクトにおいて個性を活かし独自の魅力を持つ街づくりの参考とするために、世界的にも注目されているヨーロッパの都市開発を視察してきました。スタッフの斉藤が2回に分けてレポートします。
ハンブルグ(ドイツ) かつて港湾都市として繁栄した都市
街の中心部でありながら大規模な再開発が進んでいます。エリアに、文化、レジャー、サービス、ショップ、飲食店、都会生活、公園、広場、散歩道 がエキサイティングに混在する街を目指している大規模な事例を視察してきました。
かつて港湾都市として栄えた赤レンガの倉庫の風景が今も多く存在しています。今も昔も変わらない風景があり、とても印象に残る街の特徴がありました。
次に再開発エリアの情報が得られる情報センターへ。
この街の将来像が模型等を通じてわかりやすく展示されていました。市民の人達がいつでも立ち寄れるオープンな情報センターであり、街づくりが市民の人達にも身近にある印象を受けました。日本でもこのように市民と一体となった街づくりが必要であると思いました。
再開発の中心エリアへ。
市民を水害と車から守るためペデストリアンデッキが作られていました。
また、運河という街を常に意識できるように所々にパブリックスペースが設けられていたり、建物を利用する人と一般市民の両者が水辺空間を楽しめるよう、キャンチレバーで大きく運河に張り出した建築があるなど、運河の街を最大限に感じられる街づくりが行われていました。
海、運河沿いに建つオフィスや集合住宅。
特徴的な建物がたくさん立ち並び、どの建物の表情が豊かに感じました。
さすがに私が訪れた冬のシーズンは、人々に賑わいは無く・・・。今度は夏のシーズンに行って見たいなあ。。。
目玉とも言えるヘルツォーグの複合施設へ。
再開発エリアの先端に建つ建築であり、各国の宣伝にもよく使われるロケーションです。この建物を見るとハンブルグに来たんだ!と思わせる圧倒的に印象に残る建築でした。
開発の勢いや街の「らしさ」を感じられるこのような目玉施設は重要であると思いました。この施設にはホテルや住宅もあるということで完成がとても楽しみです。
それにしても、住宅のバルコニーはどうなっているのかな?いくらぐらいで売り出されるのかな?面白い建物は、いろいろと知りたいことが湧いてきます。
リヨン(フランス)ヨーロッパ最大規模の開発
この街は、河川によって地理的に分断された都市を、「人間都市」をスローガンに一体的なヒューマンスケールの都市として再生を続ける事例です。
世界遺産にもなっている旧市街の町並みはとても美しく、石畳の小さな路地裏の賑わいはリヨンに来たという実感が沸くとても印象に残る街でした。
かつては街の発展と共に生まれた路駐による車の問題を、少しずつではありましたが解決に導くことに成功したようで、美しい風景を守る整備が進められていました。
歴史のある旧市街と新しい建物がぞくぞくと建設される再開発地区の2つのエリアでは全く違った雰囲気があり、リヨンという街の個性が新しい開発エリアではあまり感じられなかったのが正直な感想でした。しかし、新しい開発エリアには特徴的な建物が多く建設され、活気のある街づくりが進んでいて新旧が同時に感じられる新しいリヨンが作られているんだなと思いました。
ハンブルグと同様にリヨンにも再開発エリアの情報が得られる施設がありました。
建築模型を見てみると建物は高さを揃えることによりヒューマンスケールであり、一体感のあるまちづくりが感じられました。
両側を川に挟まれた特徴的な地形を活かした水辺の遊歩道など整備が進められていました。
水辺の地形を活かした水を身近に感じながらの生活がありました。
どの建物もスケール感を意識したヒューマンスケールな工夫がされていて、住宅の表情はとても豊かで街に活気を与える一つの要素となっていました。
有名建築家も多く参加していて、どの建物もとても個性的であったのが印象に残っています。
水辺には遊歩道や芝生広場があり、夏のシーズンにはピクニックやジョギング等、市民が楽しめる街づくりとなっています。
私が訪れた1月はほとんど人がいませんでした。。。。街にもシーズンオフがあるのは万国共通のようです。日本でも四季によって街が賑わうための色々なイベントなど仕掛けを行いますが、1年中街が賑わう工夫が必要であると思いました。
アートにも力を入れていて建築自体がアート作品!?と思うインパクトのある建物もたくさんありました。
開発の先端部分にはコープヒメンブラウによる美術館もオープンしていました。
とても複雑な形状で構成されていて、現代美術館の最先端が表現された外装でした。
以上、1回目はドイツ・ハンブルクとフランス・リヨンの都市開発の視察レポートでした。次回をお楽しみに。
Text and Photo by Kazuya Saito