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JMA 関西オフィス

JMA -KANSAI OFFICE-

関西オフィス8人が語る、これからの大阪のまちづくり

Introduction

JMA関西オフィスは、大阪や京都など主に西日本エリアを中心に多数のプロジェクトを手掛け、伝統や文化にモダンな要素を織り込んだデザインを実践しています。
歴史ある街並みの独自性を活かしつつ、職人との協働によって日本ならではの感性を取り入れることも大きな特徴です。

まちづくりや建物のデザイン以外にも、「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」など、大阪全体で建築の魅力を発信する活動にも注力。
今年は大阪・関西万博も開催され、“大阪らしさ”や次に目指す都市像に注目が集まっています。

今回の座談会には、関西オフィスの全メンバー8名が集結。年齢も性別もバックグラウンドもさまざまで、大阪・関西出身者はもちろん、
これまでまったく縁がなかった土地からやってきたメンバーまで、多彩な顔ぶれが関西オフィスの取り組みや、JMA/PC&PJが目指すまちづくりについて語り合いました。

PEOPLE

  • Kensuke Joko上光 健介

    上席執行役員
    プロジェクトディレクター
    (掲載当時)

    出身地:東京都

  • Kazuhisa Otsu大津 和久

    執行役員
    関西オフィス 所長
    (掲載当時)

    出身地:三重県

  • Hironori Yoshida吉田 博則

    シニアアソシエイト
    (掲載当時)

    出身地:和歌山

  • Nodoka Honda本田 のどか

    アソシエイト
    (掲載当時)

    出身地:大阪府

  • Chigusa Sunagawa砂川 千草

    出身地:沖縄県

  • Koki Kobayashi小林 功基

    出身地:埼玉県

  • Honoka Akamatsu赤松 穂乃佳

    出身地:岐阜県

  • Yuta Miyazaki宮﨑 雄太

    出身地:滋賀県

設立、そして再始動 ― 関西オフィスの挑戦

宮﨑
JMA関西オフィスに最も長く在籍されている吉田さん、入社のきっかけは何だったんですか?
吉田
先輩がアルバイトをしていたのが始まりです。当時は中之島にオフィスがあり、国立国際美術館を眺めながら働ける環境に感動しました。 その後、西本町に移り、アルバイトとして図面制作のほか、模型をたくさん作りました。 学生時代は白模型しか作っていなかったので、精巧な模型づくりにすっかり夢中になりました。友人と遊ぶよりアルバイトを優先するほどのめり込んでいましたね。
上光
アルバイトから含めると、大津さんより先輩なんですね!
大津
私は関西オフィスでアルバイト期間を過ごした後、東京に配属されて正社員になりました。 当時はスタッフの異動も活発でしたし、模型を主体にデザイン検討していたので大変でしたね。
上光
私もその頃は色紙やレーザーカッターなどを駆使しながら模型でデザインスタディを重ねていました。 夜な夜な模型と向き合ってデザインを考えていたのが懐かしいですね。
吉田
関西オフィスは中之島から西本町に拠点を移しながら、長年活動を続けていました。やがて海外プロジェクトが急増したことで、 スタッフの連携や協働が必要となり、最終的には東京オフィスに拠点を集約することになったんです。
砂川
そこから、どういう経緯で関西オフィスが再開したのですか?
大津
建築というその土地に根付く特性上、関西のプロジェクトを地理的にも遠い東京に依頼することはハードルが高いので、やはり関西に拠点が必要だと会社として感じていました。 ちょうどその頃、万博やうめきた再開発など関西で大きなプロジェクトが動き始め、「もう一度関西オフィスを立ち上げよう」という話になったんです。 最初は私を含む二人で北浜にオフィスを構えていたのですが、業務規模の拡大に伴い吉田(博)さんにも戻ってきてもらい、より広い現在の天満橋に拠点を移しました。
吉田
再開後は関西でもさまざまなプロジェクトに取り組むようになりました。クライアントの皆さまには「JMAは大規模案件に強い」という印象を持たれることが多いですが、 実際には大小さまざまな仕事に対応し、幅広いデザインを提供しています。関西でも新しいクライアントとの関係づくりを進め、現在は多様な案件に挑戦できる体制が整いました。
小林
やっぱり関西に拠点があるからこそできることってありますよね?
本田
まず、地域に拠点があることで信頼を得られるのだと思います。関西の不動産会社は担当者が長く地域に根ざしており、顔が見える関係の中で信頼が築かれます。 我々デザイナーも同じで、近くにオフィスがあるからこそ、迅速で丁寧な対応が可能になります。
上光
東京で生まれ育ち、長く東京で働いていた私からすると、東京よりもより強固に人と人との信頼関係でプロジェクトが成り立っていると感じます。

関西特有の文化と暮らしやすさ

大津
関西には独特の商習慣があります。古くから見積もりや請求書も手渡しするのが慣習で、「ありがとうございました」と直接伝える文化が根強かったんです。
宮﨑
以前は「5」と「10」の日、いわゆる「五十日(ごとうび)」には関西では特に渋滞がひどかったと聞いたことがあります。
本田 
時代とともに街も価値観も変化していますが、やはり人と人との信頼関係は変わらない。お礼や謝意を伝えるのはメールより対面、そういう文化は関西らしさですね。
小林 
私も関西に来て「人とのつながりの強さ」を実感しました。 東京から移動して間もなく、一人で飲みに行ったとき、お店の方やお客さんが自然に声をかけてくれたり、食事をごちそうしてくれたりしました。 炊飯器や湯沸かし器をいただいたこともあります。大阪は“お母さん”のような街だと感じます。 また大阪は歩いていて楽しい街です。特に梅田や難波ではイベントでにぎわっていて、国際大会が開かれている様子を見たときは新鮮でした。
本田 
都市構造がわかりやすいのも魅力です。東京は環状道路を中心に広がっていて少しわかりにくいのですが、大阪は碁盤の目のように筋と通りが整理され、方向感覚を失わない。 御堂筋を歩くだけで街の構造がクリアに把握できます。
上光 
ただ梅田周辺は似たような駅名が多くて、関西に来たての頃は戸惑いましたし、今も慣れませんね(笑)。
砂川 
私は沖縄で生まれ育ち、台湾の大学を卒業後にJMA関西オフィスに入社しました。 関西オフィス配属と聞いたときは驚きもありましたが、関西弁に触れてみたいという楽しみもありました。 会話で関西弁が分からないときは、赤松さんが“通訳役”になって助けてくれ、今では自然に関西弁が出そうになるくらい馴染んでいます。
上光 
大阪の街はどうですか?
砂川 
緑が多いのが印象的でした。特に大阪城や森之宮周辺は歩いていて気持ちがいい。 沖縄といえば海と山の自然ですが、大阪は水辺や都市の緑が身近で、違った魅力があります。
大津 
大阪に来た人は緑が多いと感じるようですが、長く住んでいると街路樹の少なさを実感しますね。ただ、水辺は確かに豊かで、それが大阪らしさの一つだと思います。
上光 
自然環境もそうですが、人との距離感も魅力ですよね。私にとって大阪の距離感はちょうどよく、少しドライなところも含めて、自分には合っていると感じます。 また、東京に比べて大阪は街がコンパクトで歩いて楽しい。まさにウォーカブルな街だと思います。
小林 
私もそう思います。都市構造が碁盤の目で分かり易いのに加えて、それぞれの街がコンパクトに集約されているので、直感的に歩いて色んなところに辿り着きますね。 関東ではそうはいきません。

分野をこえた挑戦、若手が挑戦できる環境

上光
3拠点で業務を行うJMAの体制はいかがですか? 東京オフィスや西日本・岩国オフィスとのコラボレーションについて教えてください。
赤松 
私は現在、東京オフィスのメンバーとインテリアの協働をしています。年齢も近いので気軽にやり取りでき、コミュニケーションも密にとれています。 東京にはインテリア専門のスタッフが多くいるので、東京との連携が大きな力になっています。
砂川
東京オフィスのランドスケープ専門スタッフや他社のランドスケープ事務所と協働することも多く、建築だけでなくインテリアやランドスケープまで、 プロジェクト全体に関われる機会が多いのも、少人数の関西オフィスならではの魅力です。
大津 
協働する上で大切なのは、他人の意見に耳を傾ける姿勢です。傾聴力やコミュニケーション力が、良い仕事にもつながっていくんじゃないでしょうか。
上光 
若いスタッフの意見がプロジェクトへの大きなヒントになることも多くある。耳を傾ける姿勢は本当に重要です。
赤松 
入社して、1年目から自身の意見を聞いていただけたのは印象的でした。提案をして、良ければ採用される。若手の声を尊重する社風や関西オフィスの空気感がとても好きです。
大津 
昔からそうです。光井の恩師であり、私たちも協働したシーザー・ペリも若いスタッフやインターンの声にも耳を傾け、しっかりと意見を聞き、 否定をすることなく助言をしていました。その文化がJMAにもしっかりと根付いてるのだと思います。
赤松 
入社してすぐ、自分が大学で学んできたことを実際の仕事に活かせる環境に驚きました。先輩の話を聞いて、それを自分なりに考えて形にしていける。 学びながら実践できる、すごく貴重な環境だと思います。あと関西オフィスには「今こんなことやってるんですよ」と気軽に話し合える雰囲気があって、それがすごく楽しいです。
本田
関西オフィスは規模感がちょうどよく、隣の人が何をしているかが見えるのも強みです。自然に声をかけあいながら、チームとして動けていますね。
吉田 
東京オフィスや岩国オフィスとのプロジェクト連携も徐々に深まりつつあり、各拠点のスタッフ同士で思いやアイデアを共有できる機会が増えてきました。 実際に、私が手掛けているプロジェクトでは密なやり取りを通じて、拠点を越えたチームの一体感が生まれています。
大津 
お互いに「いい意味でおせっかい」になれることが大切です。自分が気づいたことを遠慮せず伝え合うことで、より良いものが生まれると思います。
本田 
私は初期に他拠点のスタッフと顔を合わせて関係を築けていたことで、コロナ禍以降にリモート中心のやり取りが増えても、円滑にコミュニケーションを取ることができました。 現在もツールを活用し、図面の共有や疑問点をその場で確認したりと、密な連携を続けています。
宮﨑 
今年のJMA30周年イベントで、全拠点スタッフが東京に集まり交流できたのは本当に良かったです。 入社して早い段階で他拠点の方と関われたのは、自分にとってとても良い経験になりました。
小林 
コンペの際、東京に行き現地のスタッフ達と協働できた経験も印象的でした。
大津 
リモートや他拠点との連携が広がる一方で、関西は少人数だからこそチーム全体でスピーディに動ける。短期決戦のプロジェクトで特に力を発揮できるのが魅力だと思います。
上光 
加えて関西は職住近接の良さを享受していると思います。仕事と生活が近い距離にあるのは、岩国など地方拠点とも共通する強みです。
宮﨑 
関西オフィスは、入社間もない私のような若手にもどんどん仕事を任せてくれるので、とてもやりがいを感じています。
大津 
関西オフィスは少人数だからこそ任される範囲も広く、若手にとってはチャレンジの場ですが、その分、大きな責任感と成長の機会を得られる環境だと思います。
赤松 
私も最初は「少数精鋭の場」だと思って緊張しましたが、実際には挑戦させてもらえる環境で、一歩ずつ経験を積みながら成長できています。
砂川 
時には突然大きな仕事が振られることもあってビックリしますが(笑)。
吉田 
でも、それも信頼があってのこと。できない人には任せません(笑)。
大津 
それが関西オフィスの文化。少数精鋭の中で任され、育つ。その経験が次につながっていくと思います。

守りたいもの、共につくる未来 ― JMAらしいまちづくりへ

上光 
万博をきっかけに、大阪や関西の街は変わったと感じますか?
大津 
圧倒的に街がきれいになったと思います。特に阪神間の地下は想像以上に美しくなったと思います。
上光 
東京は都心部の開発が継続的に進んでいますが、関西は一部に集中しがち。湾岸など次のステージに進みにくい印象があります。
大津 
それでも最近は、キタとミナミに加えて東西の開発が活発化し、西の中之島や堂島、東の森之宮周辺や大学の展開などが広がっています。
上光 
東京は整然とした開発が継続的に進んでいる印象ですが、大阪ならではの特徴はどんなところだと感じますか?
本田 
大阪は以前に比べ、最近は広場と商業が共存する開発が進み、憩いの緑が増えてきています。 たとえばグラングリーン大阪のように、芝生の広場に人が自然と集まり、賑わいが生まれ、それが商業にもつながっている。 こうした空間の魅力が人を呼び、結果的に経済も動くという流れが、関西でも定着しつつあると感じます。 特別なイベントがなくても、ただ過ごせる気持ちのよい場所があるだけで、人は集まり、そこに価値が生まれる。 実際、平日でも休日でもにぎわいがあって、外国籍の方も多く訪れています。
上光 
美しい空間と商業がうまく循環すれば理想的ですね。
大津 
そういった、人が自然と集まって楽しめる空間は大阪らしさのひとつですよね。やはり大阪は、エンターテインメントの街だなと思います。
小林 
関西は新しい開発だけでなく、歴史文化も大事にしていますよね。
大津 
奈良・京都・滋賀と古都が多く、歴史の厚みがあります。それに西洋建築も中心部に残っています。
本田 
「イケフェス大阪」も象徴的ですが、大阪は昔のビルも大切に使い続けている。新旧が共存していて、碁盤の目の都市構造もわかりやすい。 徒歩圏内で移動でき、方位やエリアの個性が直感的に分かり易く感じられるのが魅力です。また、京都のように厳かなわけではなく、 ノスタルジックな雰囲気の中で古い建築をそのまま活用できる点も大阪らしさです。
吉田 
これからの大阪、どんな姿になっていってほしいと思います?
本田 
古いものは大切にしつつ、新しい開発にはエリアごとの個性を生かしていく。 街の「コンパクトさ」は維持しつつ、没個性的な開発にならないようにしたい。不便さも含めて個性がある方が面白いのではないでしょうか。
上光
瀬戸内のような海辺の開発も、自治体の枠を越えて取り組めるといいですね。 スケール感やデザインに余裕のある、これまでの日本にはあまり見られなかったタイプの開発ができそうです。 これは瀬戸内に面する山口県岩国市出身、光井の夢でもあります(笑)
大津 
関西には、歴史のある企業や本社機能を持つ会社が多く集まっています。そうした企業と連携できるのも、私たちが関西に拠点を構えている強みです。 今後は、商品企画やインテリア改修といった分野でも、そうした企業との協働をさらに進めていきたいですね。

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