Luxury Residential Project in Tokyo
| 用途 | Residence |
|---|---|
| 業務内容 | 建築 / ランドスケープ / インテリア |
| クライアント | - |
| 設計体制 | 基本設計・デザイン監修:光井純&アソシエーツ建築設計事務所 |
| 施工 | - |
| 延床面積 | - |
|---|---|
| 階数・構造 | - |
| 所在地 | - |
| 撮影 | 山本 慶太 |
| 担当者 | 上光 健介, 山野 太道, 松本 賢, 堀 菜々子, 佐藤 かほり |
別格に住まう
風情ある石畳の路地が残る街にほど近い、水はけのよい丘の上、都市の中における宝物のような土地。ここでしかできないものを創ろうと、「別格に住まう」をコンセプトにデザインを行った。大きな岩をえぐるようにボイド(※1)を配し、ボイドに面して開口部を設けることで、採光・通風性に優れた、開放的でありながらプライバシーの守られた居住空間を実現した。道路に面した大きな開口部には曲面複層ガラスをあしらい、外壁は天然石で仕上げることで、シンプルでありながらも大地の力強さが感じられる外観としている。ボイドの地上部分には、それぞれ異なる表情を持つ庭を計画した。暖炉のあるラウンジに面する庭は火と対になる存在として「水」をテーマとし、エントランスホールに広がる水の情景と呼応させている。残り3つの庭は「森」「花」「石」をテーマとし、四季の変化を感じられるよう設えた。本磨きの石に反射して室内へ入り込む光が、時間や季節の移ろいを刻々と映し出し、夜には石に映り込んだ緑が幻想的な景色を描く。
専有部は、厚肉床壁構造(※2)による柱のないシンプルな形状を活かし、床・壁・天井という構成が明快に感じられるように、また、住まう方が描く日常の背景となるようデザインした。プライベートとパブリックをエリア分けし、(一部を除き)回遊できるプランとすることで、来客時のプライバシーにも配慮している。ボイドに面した空間では、片面の外壁の石壁を内装へ連続させることで、外へと空間が広がるような演出を行った。間接照明のアゴは曲面とし、窓周りは額縁ではなく壁紙を巻き込むなど、できる限り線の存在感を消している。
共用部では空間のゆとり、時間のゆとり、そしてゆとりある心、「別格に住まう」を体現する、余白があり季節感を感じられる空間を目指してデザインを行った。「水」と「光」を人々を導くモチーフとして、空間を広く演出するため曲線を用いて終わりが見えない構成とし、アクセントカラーを奥へ奥へと配することで、視線を奥へと誘引する仕掛けを施している。螺旋階段を中心に波紋が広がるよう、本磨きのモザイクを床に配し、水面に反射する光の揺らぎを表現した。また、アクセントタイルには、岩肌を流れる水のようなきらめきを与えている。各所のアートも水をテーマとし、螺旋階段下には水が湧き出すかのようなアートを設えた。光は曲線に沿って、大きく空間を包み込む。屋内廊下は石畳を思わせるカーペットとし、各アルコーブにはランタンをあしらい、情緒ある街を彷彿とさせる情緒ある演出を行った。ダウンライトは最小限に抑え、アルコーブ内とエレベーターホール前のみに配置し、廊下の間接照明、ランタン、アルコーブの壁間接照明によって、柔らかな光を演出している。部屋番号のサインは、ランタンのある石柱にあしらった金属を天から落ちる水に見立て、対面の壁へ水平に流れ、地へと落ちていくようなデザインとした。その他のサインは、建築のえぐれを思わせる、抜け感のあるデザインとしている。
時間の流れ、四季の移ろいを感じながら、ここで暮らす歳月が住人の方々にとってかけがえのないものとなり、長く愛される住宅となることを願っている。
※1 ボイド: 何もない空間、ボリュームやマスとの対比で用いる(光庭や吹き抜けなど)
※2 厚肉床壁構造: 柱・梁ではなく、厚いコンクリートの壁と床で建物を支える構造