本計画は、事業者と複数の地権者が土地・建物を共同で利用して建て替える「共同建て替え」による計画である。12階建てであり、低層階に分譲賃貸住宅、中層階に地権者住戸、高層階が分譲住宅となっている。敷地は、神田駅そして淡路町駅に隣接している。我々は、事業者及び地権者と共にこの神田と言う歴史を積み重ねてきた地にふさわしい美意識は何かと考え辿り着いたのが、江戸文化が培ってきた「粋」という思想である。この「粋」という考えをコンセプトにして、伝統的な美しさを柄や色として外壁デザインに取り込んでいる。外壁はゆるやかにグラデーションする絣柄(かすりがら)をタイルにて表現、茶色や鼠色など洒落た色合いを多彩に組み合わせ、手の込んだ繊細さを表現した日本ならではの美学を具現化している。

インテリアにおいては、神田川のそばで水と共に栄えたこの地の歴史を継承し、「水」をテーマにデザインを展開している。その一つが風除室内にあるウォーターウォールである。この邸宅に訪れる方、住まわれる方を水の潤いによる優雅な空間が出迎えてくれる。